●表紙を飾って下さった画家の方々をご紹介します●
建石修志 (創刊号/2号/3号/4号/5号/6号/7号/8号/9号/10号/11号/12号/13号/14号/16号/17号/19号/20号/21号/23号/2号5/26号/31号/33号/40号/4号2/45号/48号/50号/52号/55号/57号/60号/64号/66号/67号/中井英夫スペシャル/幻視の文学1985/血と薔薇のエクスタシー/地底の鰐、天上の蛇/怪奇十三夜)幻想文学に関心のある人、中井英夫ファンなどで建石修志の名前を知らない人はいないでしょう。『幻想文学』の出版に際して、いろいろと助力してくれた青銅社の社長の紹介で、建石さんにお会いでき、表紙画を引き受けていただけたときの感激は、それはもうたいへんなものでした。いろいろなテーマでたくさん描いていただいて、建石さんの表紙がこれだけそろえられたというだけでも『幻想文学』には価値があるという気持ちになります。中井英夫の作品には挿画もたくさん描いてもらいました。感謝のひとことです。
画集、また建石さんの絵がたくさん入った絵本として次のようなものがあります。
『標本箱の少年~建石修志画集』(ペヨトル工房)、『月』(グリム兄弟・パロル舎)『浮揚譚』(船崎克彦文・パロル舎)、『月光の遠近法』(高柳誠詩・書肆山田)、『星夜/施術者たち』(渋沢孝輔詩・思潮社)など。
また装幀家としても多くの本を手掛けています。
建石修志さんのサイトへはここからどうぞ
梅木英治 (タルホ・スペシャル)
現実の向う側にある不可知の世界の便りを感じさせるような、不思議な絵を描く画家です。
装幀の代表的な仕事に、国書刊行会の《日本幻想文学集成》の装画があり、これをまとめた画集『最後の楽園』(国書刊行会)があります。
開田裕治 (39号/ラヴクラフト・シンドローム)
怪獣画の第一人者。編集長の東がファンで、ぜひにということで、『クトゥルー倶楽部』(後の『ラヴクラフト・シンドローム』)の表紙をお願いしたのでした。画集には『怪獣画廊』(メディアワークス)。
モンスター・コレクションというカードゲームでも、ドラゴン系のモンスターをCGで描いていて、とても人気があります。このカードゲームをボードゲームにした『六門戦記』の箱も開田さんの絵で飾られています。
山本六三 (32号/36号/41号)
『眼球譚』などの挿画で知られる幻想画家です。
『幻想文学』49号にも紹介がありますが、画集に『山本六三画集 エロスタナトス』(奢覇都館)があります。
山本六三画伯は2001年11月6日午前10時02分、神戸にて61年の生涯を閉じられました。
戸田勝久 (34号)
ノスタルジーと幻想味とが絶妙にマッチした世界がとても素敵な画家です。
『幻想文学』57号にも紹介記事を載せた画集『旅の空』(かとう美術・06-6373-1250)は本当に魅力的。34号の表紙画もこの画集には収録されています。
花輪和一 (38号)
時代物(特に平安ものなど)には定評のある漫画家です。個人的には刑務所暮らしを描いた写実的なものも好きです。『水精』(ペヨトル工房)『赤ヒ夜』『月の光』(青林堂)など。
野中ユリ (46号/51/澁澤龍彦スペシャル/回想と批評)
言わずと知れたコラージュの女王。なにしろ美術の教科書に名前が載ってしまうような方なのですが、お話するととても気さくなので驚かされます。
画集には『Metamorphoses~野中ユリ銅版画集』(個人出版)『妖精の森』(平凡社)『狂王』(澁澤龍彦文・平凡社)など。
澁澤龍彦の本など、装幀本もたくさんあります。
西村有望 (47号/56号/61号/モダンホラー・スペシャル)
細密な鉛筆画の人。本人はとにかく肌理にこだわるのみ、と常に言っていて、抽象志向の画家のようにも思えます。
怪談特集をするときに、どうしてもこの人に表紙を、と考え、東と石堂で個展会場にアポもなく押し掛けてOKをもらいました。もっとも一枚描くのに一ヶ月はかかると言われて、焦りましたが。『幻想文学』のファンだということ、石堂とは年齢が同じということもあって、すっかり意気投合し、『幻想文学』の本文ページのデザインも手伝ってもらいました。画集に『蛇蝎』(アトリエOCTA)。
東逸子 (58号)
『詩とメルヘン』などを読んでいた乙女の頃に憧れまくった画家です。
32号の人形特集でも挿画をお願いしています。
58号の絵は画集『アフェリオン』からの一枚です。画集、絵本の類は本当に多くて、全部はとても挙げられません。『月光公園』(三起商行)『翼の時間』(三起商行)『ピルエット』(河出書房新社)『アマテラス』(ほるぷ出版)『アクエリアム』(サンリオ)『トワイライト』(サンリオ)『パルステラ』(サンリオ)『イプシロンの翅』(白泉社)『妖精のわすれもの』(偕成社)『シェイクスピア幻想』(唐十郎文・Parco)、『グリム幻想』(古井由吉文・Parco)などがあります。
モンス・デシデリオ (54号)
山尾悠子の好きな建築崩壊と滅亡の画家。画集として『モンス・デシデリオ』(トレヴィル)がありますが、トレヴィルがつぶれたので古書店でしか入手できないかも。
ジャン・デルヴィル (53号)
ベルギー幻想派の一人で神秘に満ちた光に特徴があります。『ジャン・デルヴィル画集』(夢人館・岩崎美術社発売)は幻想派は必携。
ギュスターヴ・ドレ (43号)
19世紀の偉大な挿絵画家。聖書、『神曲』などと彼の仕事はとにかく歴史に残るもので、人々の視覚的イメージを決定づけているという面もあるかも。『新約聖書物語』『旧約聖書物語』『寓話』『神曲』などがアルケミアから出ています。
トマス・コール (59号)
ハドソン・リヴァー派の画家。幻想の荒野、アメリカ両大陸の無垢なる自然という幻想を描きました。
ルイジ・ルッソロ (62号)
イタリア未来派の画家・音楽家。未来派の中でも幻想的な画風で知られる。ダイナミズムを感じさせる美しい画面を作り出した。
小林清親 (18号)
明治の浮世絵師として知られた画家で、「イルミネーション」は文明開化を描いたものとしてとても有名です。『浮世絵大系12 小林清親』(集英社)など。
水島爾保布 (22号)
谷崎潤一郎『魔術師・人魚の嘆き』の挿画で知られる耽美的な画家。22号では息子である今日泊亜蘭さんに話を伺っています。弥生美術館などに行くと、カードをゲットできるかも知れません。
古賀春江 (25号/29号)
大正期のシュルレアリスム絵画の画家。男性です。詩画集『写実と空想』(中央公論美術社)、『コレクション・日本シュールレアリスム』(本の友社)などがあります。大原美術館に古賀春江コレクションがあります。
竹中英太郎 (27号)
『新青年』なとで活躍した画家。夢野久作の挿画などを多く手掛けた。27号には息子の竹中労による創作風エッセイが掲載されています。画集に『百怪、我ガ腸ニ入ル』(三一書房)があります。
松野一夫 (30号)
『新青年』などで活躍した挿絵画家。
小村雪岱 (35号)
日本画家。泉鏡花の著書の装幀などを多く手掛けています。国書刊行会から『小村雪岱画集』が出ています。ほかにも画集があり、当然のことながら、日本画家集のようなものにも絵が採られています。
ひらいたかこ (63号)
イラストレーター。絵本も作られるし、エッセイも書かれる。ミステリや怪奇小説などの装画でおなじみです。63号では創元推理文庫『M・R・ジェイムズ全集』の表紙のオブジェの別ヴァージョンをお借りしました。画集に『魔女の隠れ家』『マザーグース・ショーケース』(東京創元社)など。
勝本みつる (種村季弘の箱)
コラージュやオブジェ製作もなさる美術家です。58号では寮美千子さんの作品のためにコラージュをお借りしましたが、種村季弘はオリジナルです。
浅野勝美 (65号)
銅版画家。角川ホラー文庫の表紙や、『皆川博子作品精華』の表紙などを手がけておられます。一年半前にお会いして、神秘文学の特集の時に是非にとお願いしていましたが、その約束通りに作っていただいたものです。
伊勢功治 41号から表紙のデザインをお願いしています。
マックを前に一人で仕事をこなしています。かつては版下入稿の仕事をしておられましたが、ある時期からほとんど電子データとなりました。『幻想文学』でも57号からデータ入稿になりました。
装幀のほか、ポスター・ちらし等のデザインも。
幻想文学関連の書籍の装幀のお仕事をご紹介します。
ヨシフ・ブロツキー『大理石』(白水社)、新装版『猫物語』(白水社)、北原尚彦『SF万国博覧会』(青弓社)など。
白水社とのお付き合いが長いそうで、白水社の雑誌・本の装幀が多いです。自分で写真を撮影することもあるとのこと。『大理石』のマテリアルの写真も伊勢さんが写したものなのです!