《明石町便り13 2005/7/17》
★肩は治れど……
またまた長きに亙つて御無沙汰を致しました。9箇月は、ええと、最長記録かも知れません[自慢できることかヨ!]。3年越しの五十肩も漸く治りました。年が明けた頃は未だ左肩が痛かつたのですが、春の訪れとともに薄紙が少しづつ剥がれるやうに軽減して、5月には殆ど痛みを感じなくなりました。両の手を背中に廻して繋げるまでには至つてをりませんが、後ろ手に縛って貰う事くらいは出来さうです[オイオイ、まともに受け取られたら、どうすんだヨ!]。
然し、3年は長い! この間(かん)にすつかり萎えてしまつた気力が中々旧に復しません。その上、これまたワープロが不調で、気力回復の道を妨げてゐるのであります。以前、この【明石町便り】にも記し、大騒ぎして4台の親指シフト・ワープロを入手、これで当分は安心と胸を撫で下ろしたのですが、2台は初めから使い物になりませんでした。そのうち、もう1台もへたれこみ、残りの1台に縋つてゐるのですが、これも思ふやうに言ふ事を聞いてくれません。みなフロッピーディスクドライブの接触が悪くなつてしまふのです。原稿作成もそろそろPCに切替へねば……と思ひますものの、ワープロに比べると3倍くらい時間がかゝるものですから、すぱッと思ひ切れません。おまけに最近はPCまで変調を来して、しばしば起動不能となる始末であります。貧民にはPCの買換も難事と申すに尽きるので、こと此処に至つては、宝籤でも買ふほかは手だても無ささうです。ロト6とか、けつかう当るんじやないか……といふ気がしないでもありませんが、獲らぬ狸の何とやら、たぶん駄目でせうね。
『江戸の伝奇小説』残り3巻も『美少年西洋史』も『鏡花曼陀羅』も、みな書きさしのまゝで、未完の原稿たちは夜泣きをしてゐる事でせう。「じやあ、いつたい何をやつてるんだ」と聞かれても、明確にお答へ出来ません。家賃の捻出とか植物の植替とか、いろいろありますが、呀(あつ)といふ間に月日は流れていつてしまふのであります。
「これからは、心を入れかへて」と私が申しますと、某編集長さまは「そんな科白(せりふ)は聞き飽きた」と仰います。でも、その場では真実さう思ふのですよ。どうかひとつ、ながーい目で見て遣つて下さいまし[ここで両の眦を指もて左右に引き伸ばす仕種]。
★【日影丈吉全集】完結記念?
『世紀末少年誌』以後、エッセイ集のやうなものを絶えて出してをりません。これからも出す機会には恵まれぬやうな気が致します。雑誌などに発表した短いエッセイの中には、皆さんのお目に触れぬものも多かつたのではないかと思はれ、左様なものをこのサイトに少しづつ載せたら如何かしらんと考へ、川島さん[御存じない方のために申し添へておきますが、石堂藍さまですよ!]に相談申し上げてから3年くらい経つでせうか、曰く【須永朝彦バックナンバー】。川島さんは「では、直ぐデジタル化に着手しませう」と仰つて下さつたのですが、私が愚図々々してゐるうちに今度は川島さんが御多忙の身となられ、中々実現の運びに至りませんでした。
このたび、国書刊行会版【日影丈吉全集】がめでたく完結をみましたので、これを機にまづ日影さんに就いての拙文4篇を載せる事と致します。どういふ形になるか、まだ判りませんが、textfileは既に川島さんに送信済ですので、近々御覧いただける筈であります。
一読下さらば嬉しく存じます。
★本年上半期の植物フォト
肩が痛からうが仕事が滞らうが、植物は暦通りに花を咲かせてくれます。今年の春から最近にかけて撮ったもの、既に御覧いただいた花も多いのですが、お目にかけます。
クレマチス、君子蘭、芍薬、ブルースター、紺碧草、燕水仙(スプレケリア)、昼顔、透かし百合(ハイブリット種)、螢袋の9点、今年からデジカメ[PCの先生ヒロさん御貸与の逸品]で撮影しております。ブルースターや透かし百合は花や葉に置いた露まで写つてゐるのですよ。神戸のmoonさんの御覧に供しましたら、「腕を上げましたね」と褒められました[エッヘン!]。
紺碧草は深川富岡八幡宮の縁日で見かけて購つたのですが、「コンペキソウ」と手書きのネームプレートがついてゐただけなので、多分「紺碧」だらうと勝手に漢字を当てゝをります。何科の何属なのか、原産地は何処なのか、さつぱり判りません。御存じの方がいらつしやいましたら御教示下さい。
現在、露台ではヘメロカリスや白花河原撫子がすがれて、屋久島萩や済州島吾亦香や水引が咲き始めました。みな趣深き花ではありますが、惜しむらくは写り映えがしません。フォトジェニックじやないんですね。
◇蛍袋◇
◇クレマチス◇
◇ブルースター◇
◇君子蘭◇
◇燕水仙◇
◇紺碧草◇
◇昼顔◇
◇透かし百合◇
◇芍薬◇
★本の紹介は近々追加を
紹介したき受贈書も多々あるのですが、それは追々少しづつ載せたいと考へてをります。
南條竹則さんなんか、この半年の間に3冊も上梓なすつて、唯たゞ感服しておりますよ。
某編集長曰く「少しは見習つたらどうですか」、御尤もであります。『子不語の夢』を送つて下さつた村上裕徳さんに就いても是非記しておきたい事があります。また、旧師御逝去の事も出来れば書きたいと思つてをります。では、近々必ず追加up致します。
われは繭を夕陽に透かす騎兵らのうつくしきイギリスは見えねど 『驟雨修辭學』